富山湾の紹介

「だから美味しい富山のさかな」

富山県で漁獲される魚の美味しさや種類の豊富さ・新鮮さはかねてから定評があり、特に、冬季に定置網で漁獲される脂の乗った寒ブリや、春に漁が始まるホタルイカシロエビ、秋の高志の紅ガニ(ベニズワイガニ)は、富山県の特産として全国に良く知られています。
これら富山の魚は、富山湾に特有な自然環境の恵みによって生み出されるものであり、この「神秘の海・富山湾」をご紹介しましょう。

富山湾は日本海の「天然の生簀」

日本海のポケット富山湾は、日本海側の中央に位置し、若狭湾に次いで大きな湾です。また、太平洋側の駿河湾や相模湾とならび日本でもっとも深い湾のひとつです。
富山湾は、大陸棚が狭く、深い海が海岸の近くまで迫っていることが大きな特徴です。また「藍瓶(あいがめ)」と呼ばれる16もの海底谷があり、そこは良い漁場となっており、能登半島で囲まれ北東方向に口を開けたような形状は日本海の「天然の生簀」と呼ばれています。
※「海底谷」とは、現在の海底が陸地だった時代の川の跡といわれています。

富山湾は日本海のポケット

暖流と深層水

暖流と深層水日本列島のまわりを、暖流と寒流がぐるりととり囲んでいます。
日本海側には対馬海流(暖流)が北に向けて流れていて、富山湾にもその一部が能登半島に沿って入ってきます。このため、暖流系の魚がこの流れに乗って富山湾に入ってきます。
一方、対馬海流の下には日本海固有水(深層水)とよばれる海水があります。平均水深が約800mとされている富山湾。この深層水は常に水温が2℃以下で冷たく、栄養が豊富で、きれいな状態に保たれています。そこには冷水系の魚が棲んでいます。
このように富山湾では、暖流の対馬海流と、冷たい深層水が2階建ての家のようになっていて、暖流系と冷水系の両方の魚が数多く見られ、その数は約500種とされています。

暖流と深層水

富山湾のふしぎ

富山湾には、ホタルイカ、蜃気楼、埋没林など、さまざまな不思議があります。それらは、富山湾特有の自然条件が生みだしたものです。

ホタルイカ

ホタルイカホタルイカは毎年3~6月頃、産卵のために富山湾にやってきます。卵や生まれたての赤ちゃんの頃と、産卵のとき以外は、ほとんどのホタルイカは富山湾から離れて生活しています。
ホタルイカは、日本の周辺の海に広く分布していますが、富山湾は海底地形が急に深くなっているため、岸に寄りやすい条件にあると考えられます。
ホタルイカは体全体に発光器をもち、何かに接触したり驚いたりすると、腕の先の発光器を強く光らせますが、海中で遊泳している時は茶色状です。
群れをなしたホタルイカが岸近くで見られるのは、世界的にもめずらしく、その群泳地区は国の天然記念物に指定されています。

蜃気楼

蜃気楼地面や海面の近くで、冷たい空気と暖かい空気が重なったとき、その境目に目に見えない大きなレンズができることがあります。そのレンズによって、そこを通る光が曲げられるので、遠くの景色が伸びたり船が逆さまになったりして見えるのが蜃気楼です。
富山湾の蜃気楼は、春だけでなく、冬にも見ることができます。

埋没林・海底林

埋没林・海底林何千年も前の樹木が、地中に埋もれて腐らずに残ったのが埋没林や海底林です。
有名な魚津埋没林は、約2千年前に地球が温暖化して海面が上昇したため、海岸近くの森林が海に沈み、その上に土砂が積もったためできたと考えられています。
このほか、入善町の沖では海底林が見られます。これは約1万年前の樹木で、大陸棚が昔は陸地であったことの証拠といわれています。