刺身からフライまで、幅広く楽しめる白身魚。
旨みが増す干物は富山県定番の味
白身の淡白な味わいが人気のカマス。塩焼きやフライ、刺身、干物などさまざまな料理に使える魚で、富山県では焼物の代表的な食材として知られています。富山湾では10~12月にかけて多く水揚げされ、カマスの干物は氷見地方にある民宿の朝食の定番メニューとなっています。
かつてカマスは、擦れるとウロコがはがれやすいことや、身が柔らかく鮮度落ちが早いことから、鮮魚での流通は多くありませんでした。しかし近年では、鮮度保持・流通技術の発達によって鮮魚での流通が可能となり、特に大型のカマスは、脂がのっていておいしいと刺身でも食されるようになったため、鮮魚としての消費も増えています。
「秋ナス嫁に食わすな」は、大切な嫁が体を冷やすといわれているナスを食べることを戒めた言葉ですが、カマスにも「秋カマス嫁に食わすな」ということわざがあり、こちらは秋のカマスは独り占めしたくなってしまうほどの美味しさから、食べすぎを戒めた言葉と言われています。
多くの地域で水揚げされる親しみ深い魚。
成長するほどに脂がのって美味
主な漁法は定置網漁で、八そう張網漁でも漁獲されています。
水揚げは、県内にあるほぼすべての漁港で漁獲されています。
定置網で漁獲されるため、ウロコがはがれやすいカマスも、傷がつきにくく、鮮度の良い状態で水揚げされます。
富山県で水揚げされるカマスはほとんどがアカカマスと呼ばれる魚種です。
獲れ始めの9月下旬では1尾50~60gと小さいですが、盛漁期である11~12月ごろには130~150gとなり、塩焼きや干物など、さまざまな料理で楽しまれます。200gを越える大型のカマスは1尾1,000円で販売されることもあります。